こんにちは。ミスターミックス(MRMYX)です。
この記事では、ラッパーのオー・シー(O.C.)(以下 O.C.)を紹介します。
O.C.については、世間の評価があまりにも高すぎる気がするんですよね〜。
ソロでそんなにドカンとビッグな曲を出してるわけでもないし、マイクリレー系のややビッグな曲でもそんなに存在感があるわけでもないし、ちょっと褒められすぎなんじゃないかなと僕は思います…。
いや、確かにラップは良いんですよ。良いんですけど、ちょっと絶賛され過ぎなんですよ。ちょっとおかしいんですよ評価のされ方が。
あまりにも褒められてるので、実際に作品を聴いたら肩透かしを食うんじゃないでしょうか。
多分ヒップホップオタクしか知らないラッパーだからそういう評価になっちゃうんだと思うんですけど、この記事では僕の視点から、もっとフラットな紹介の仕方を試みてみようと思います。
とりあえずまず、「O.C.って誰?」というところからいきます。
目次
O.C.って誰?
O.C. は1971年生まれ、ニューヨークのブルックリン出身のラッパーです。
D.I.T.C. というヒップホップグループのメンバーでもあります。
彼は、クールGラップ(Kool G Rap)、ラキム(Rakim)、ビッグ・ダディー・ケイン(Big Daddy Kane)、スリック・リック(Slick Rick)など80年代後半のオールドスクール期のラップレジェンドたちに大きな影響を受けました。
1991年にオーガナイズド・コンフュージョン(Organaized Konfusion)というグループの “Fudge Pudge” という曲に参加し、オフィシャルなデビューを果たしました。
1994年に、ロード・フィネス(Lord Finesse)やバックワイルド(Buckwild)と出会い、D.I.T.C.に参加。その後、彼らとともにO.C.の代表作の1つとなるアルバム “Word…Life” (1994年) を制作し、リリースします。
O.C. の最もよく知られた曲としては、DJプレミア(DJ Premier)がプロデュースした “Return Of The Crooklyn Dodgers” があります。
客観的に見るとこんな感じのラッパーです。
彼が所属しているグループ D.I.T.C. については、メンバーも多いし、ちゃんと説明するとちょっと長くなりすぎちゃうのでここは省略させてください。ごくごく簡単に言うと「ニューヨークのめちゃくちゃ渋いヒップホップグループ」です。
今回はとりあえずそれだけわかってれば問題ないです。今回の記事はO.C.の説明なので。
O.C. の世間の評価
冒頭でも言ったんですが、O.C. は世間的な評価がめちゃくちゃ高いんですよね。
ネット上の記事とか、レコード屋のコメントとか、レビューのコメントとかの評価がちょっと高過ぎだと思います。
例えば、
「技巧派ラッパー」
「リリシスト」
「ナズ(Nas)と同等。もしくはそれ以上」
「ニューヨークを代表するラッパー」
「ブルックリンを代表する天才ラッパー」
「卓越したライミングスキル」
「抜群に高いラップスキル」
ファーストアルバム “Word…Life” について
「一生モノ」
「捨て曲なし」
などなど…。
ちょっと褒め過ぎですね。僕から見ると。
パッと見れば確かに「褒め言葉」ではあるんですが、適当すぎだなと僕は思います。
逆に愛がないんじゃないかなと。
こんな言葉じゃO.C.の特性とか魅力とかストレートに伝わらないと思うんですよね。
しかも、この抽象的な褒め言葉だけが書いてあって、「何が具体的に技巧派なのか」とか誰も書いてないですからね。
マジで適当です。ネット上の評価。
そこで、僕の考えを伝えたいです。
O.C. についての僕の考え
・代表曲が少ない
・ソロとしての代表曲に良い曲はない
・複数人参加している曲の名曲は2曲
・O.C.が目立つ曲はほとんどない
・僕自身はリリックまで聴いてない。「リリシストかどうか」はわからない
・DJとして使える曲の中でも、サラッとBGMとしてかける程度の曲がほとんど
O.C.を上手く伝えるのは結構難しいです。
なかなかわかりやすい良い曲がないので。
なんか複雑なんですよね。
代表曲が少ない
上にまとめた通り、まず「代表曲が少ない」。
アーティストとしての代表曲が多く考えても8曲くらいしかないですね。
O.C.を聴くときに絶対にチェックしておかなきゃいけない曲というのを下の表にまとめてみました。
TRACK | ARTIST | YEAR | RATE |
---|---|---|---|
Born 2 Live | O.C., Buckwild | 1994 | ★★ |
Return Of The Crooklyn Dodgers | Crooklyn Dodgers | 1995 | ★★★★★ |
Thick | D.I.T.C., DJ Premier | 1999 | ★★ |
Fudge Pudge | Organized Konfusion, O.C. | 1991 | |
Let’s Organize | Organized Konfusion, Q-Tip, O.C. | 1994 | ★★ |
Time’s Up | O.C., Buckwild | 1994 | |
Creative Control | O.C., Organized Konfusion | 1994 | ★ |
Word…Life | O.C., Buckwild | 1994 | ★ |
O.C.にとっての一番の代表曲は “Born 2 Live” (1994年) という曲で、トラックもキャッチーで世間的にはヒップホップクラシックの1つとして認められている曲なんですけど、僕は個人的にあまり好きじゃないです。
でもこれがO.C.の一番の名曲で、かつO.C.がソロで目立っている曲でもあるので聴きたい人は聴いてみてください。
ミックスCDとかでもO.C.の曲の中では最もよく耳にする曲だと思います。
下に動画を貼っていますが、あくまでオススメしてるわけではなく、参考程度に捉えてください。
O.C., Buckwild – Born 2 Live (1994)
ソロとしての代表曲に良い曲はない
代表曲クラスのビッグな曲で、O.C.がソロで目立っている曲が今あげた “Born 2 Live” くらいしかないんですよね。
だから、めちゃくちゃ伝えづらいんですよね、O.C.って。
あとはソロの曲は地味な曲ばっかりです。
“Time’s Up” という曲はエミネム(Eminem)の映画「8マイル(8 Mile)」の序盤のラップバトルのときに使われている曲だったようですが、僕は正直このトラック、ラップの魅力が全くわかりません…。「8マイル効果」もあるのか、この曲はO.C.の曲の中でも圧倒的な再生回数になっています。
ビッグな曲だとコラボレーションの曲しかなくて、O.C. がそんなに目立っていないのでなかなか伝わりづらいんですよね…。
いや〜困った。
複数人参加している曲の名曲は2曲
O.C.の曲でビッグチューンかつ良い曲っていうのは、コラボレーションの曲だけなんですよ。
とりあえず、“Return of The Crooklyn Dodgers” という曲は、必聴です。
これは90年代ヒップホップを代表する曲の1つで、「O.C.がここに参加している」ということが彼のキャリアの中で最大の功績なのではないかなと僕は思っています。
ただし、この曲はチャブ・ロック(Chubb Rock)とジェル・ザ・ダマジャ(Jeru The Damaja)も参加しているマイクリレーで、プロデュースもDJプレミア(DJ Premier)という曲で、O.C.が特別目立っているわけではないんですよ。ちなみに2番目(1:31〜)にラップしてるのがO.C.です。声もそんなに特徴的じゃないですよね。言われなかったらなかなか気づかないと思います。
それでも、この曲こそがO.C.にとっての最大の代表曲であり、最も世の中にO.C.の声が露出した曲なんじゃないかと僕は思っています。
この曲自体は聴いたことがあっても、O.C.がラップしてることは知らなかったって人も多いんじゃないですかね。
この曲は本当に必聴です。ヒップホップが好きな人は絶対に聴いてください。
90年代ヒップホップのトップトラックスの1つです。
文句なしにオススメの90年代ニューヨークヒップホップ。
Crooklyn Dodgers ’95 – Return Of The Crooklyn Dodgers (1995)
もう1つのコラボ系代表曲が自身も所属するグループ D.I.T.C.としてリリースされた曲です。
この曲はかなり男らしい曲調のトラックで、誰にでもオススメできる曲ではないんですが、ヒップホップを聴いてたら色んなところで聴くことになる非常に有名なトラックです。
この曲もDJプレミア(DJ Premier)プロデュースです。
ラップはマイクリレーになっていて、A.G.、ビッグL(Big L)、O.C. (2:13〜)の順でラップしていきます。
この曲もそんなにO.C.目立ってないですよね〜。
でもヒップホップ全体の中でかなり有名な曲の1つなので、これもO.C.の代表曲の1つとして聴いてみてください。超オススメってわけでもないんですけど、「有名なのでチェック」って感じですね。
D.I.T.C. (A.G, Big L, O.C.), DJ Premier – Thick (1999)
O.C.が目立つ曲はほとんどない
他にもオーガナイズド・コンフュージョン(Organized Konfusion)絡みなど、コラボ系の曲で ”O.C.のキャリアにとって重要な曲” はあるんですが、これは聴いても聴かなくてもどっちでもって感じです。
一応上のリストには載せてあるので、聴いてみたい人は聴いてみてください。
とにかくどれもこれもO.C.があんまり目立ってないんですよね…。
普通に聴いてたらどの部分でO.C.がラップしてるのかわからないですね。
僕自身はリリックまで聴いてない。「リリシストかどうか」はわからない
世間では「リリシスト」として評価している人が多いみたいですが、僕は正直そこまで聴いてないですね。
音楽的な部分だけ聴いて、リリックまで興味が湧かないというか。
実際「リリシスト」として評価してる人でもそこまで聴いてるんですかねちゃんと。
なので本当にO.C.がそこまで高く評価されるべき「リリシスト」なのかどうかは僕はわかりません。
DJとして使える曲の中でも、サラッとBGMとしてかける程度の曲がほとんど
ここで紹介した曲は本当にごくわずかなんですが、DJとして、もしくはBGMとして使える曲はもうちょいあります。
O.C.は、がっつりフロアをロックできる曲はあんまりないんですが、サラッとBGM的にプレイできる曲はインストも含めてもう10曲くらいはありますね。
ただ、あまりにも地味で本当に現場とかでサラッと聴かないとその良さが伝わりづらいなと思ったので、今回はSpotifyのプレイリストは非公開にしてます。
そっちも聴きたいコアな人は下のトラックリストを参考にチェックしてみてください。
「そんなに届かなくても良い」と思ってあえて画像にしてあるので、よっぽど気にならない限り聴かなくても全然大丈夫です。
O.C. にとって重要な曲もほとんどないし、ヒップホップ全体で重要な曲もここには入ってないです。
完全にBGM用、もしくはオタク向けですね。
さて、ここまでO.C.の代表的な曲を3つ紹介しましたが、O.C.のことがある程度ざっくりとわかったんじゃないでしょうか。
その上で、「O.C.にとっても重要な曲ではない」「ヒップホップ全体にとっても重要な曲ではない」、だけどめっちゃいい曲を2曲紹介します。
O.C. の隠れた良い曲
Pete Rock, O.C. – Respect Mine (1998)
ピート・ロック(Pete Rock)の1998年のアルバム “Soul Souvivor” に収録された1曲。
ウータン・クラン(Wu-Tang Clan)の 名曲 “C.R.E.A.M.” のレイクウォン(Raekwon)のバースから一瞬のフレーズ “Respect Mine” という部分を切り取ってサンプリングした渋い曲です。
やってることはめちゃくちゃディープですが、最終的に誰でも心地よく聴けるゆるいトラックに仕上げているところにピート・ロックの手腕を感じます。
共演にO.C.を持ってくるところもめちゃくちゃ渋い。
この曲のおかげでO.C.にスポットライトが当たってる感じもいいっすね。
O.C.の良さが光るトラック。
O.C., Da Beatminerz – It’s Only Right (1997)
こちらもほぼベースとドラムしか鳴っていないトラックの上でO.C. が1人でラップするかなり渋い1曲。
トラックはビートマイナーズ(Da Beatminerz)がプロデュース。
これも曲自体の存在も地味だし、曲調もめちゃくちゃ渋いんですがO.C.のラップが一番味わえる曲なんじゃないかなと僕は思ってます。
例えるなら、熱々のご飯に明太子だけのっけて食べる、みたいなそんな感じです。
本当にシンプルで不要なものは削ぎ落とされてて、かなりクラブ映えする曲でもあると思います。
ということで、この記事は実は最後の2曲のかっこよさを伝えたかったんですよ。
代表曲にパッとするものがほとんどない中で、「代表曲でもない地味な良い曲」を伝えるのってなかなか難しいですね。
でもやっぱり一番聴いてほしいのは2番目に紹介した “Return of The Crooklyn Dodgers” です。
これは、「O.C.の曲!」って感じではないですが、O.C.絡みの最も大きな曲ですね。
この記事によって、O.C.のこと、O.C.の音楽、O.C.の良さが少しでも伝わっていれば幸いです。
Amazon
Download this Track ▶︎ Crooklyn Dodgers – Return Of The Crooklyn Dodgers (mp3)
Download this Track ▶︎ Pete Rock, O.C. – Respect Mine (mp3)
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Buy on CD ▶︎ Pete Rock – Soul Survivor (CD)
90年代ヒップホップをもっと聴きたい方へ
“The ’90s Hip Hop”
selected by MRMYX
Spotify Playlist ♫ ▶︎ https://spoti.fi/3x4IeB6